8月24日 悲しいお別れが二件続きました

本日は 病院である以上は避けられない悲しい出来事 ペットの死を 二件つづけて経験しました。一匹目は 子犬の時初めてのワクチンから来院してくれたコッカースパニエルでした。おばあちゃんがとても大切に面倒をみておられましたが 体重が十五キロ以上もあり 凄く元気すぎて お年を召した女性には 一寸手に余りそうなワンちゃんでしたが 上手にしつけられていて とても賢く成長してくれましたので 飼い主さんとペットの関係としては とても素晴らしいと考えていました。
所がそのおばあちゃんが 旅行中に突然の事故で急死されてしまいました。同居されていた息子さんご夫婦が 引き継いで面倒を見始められましたが ワンちゃんしてみれば 急に仲の良かったおばあちゃんと合えなくなってしまいましたので それまでとても素直で従順ないい子でしたが 息子さん夫婦を手こずらせるような 結構困ったワンちゃんになってしまいました。しかし息子さんご夫婦が 諦めないで 懸命に愛情を注がれましたので 多少ぐれていた時代もありましたが 無事に更生してくれて またとても賢いワンちゃんに戻ってくれました。
最愛の飼い主さんとの死別と言う大きな苦難と無事に乗り越えてくれた子でした。飼い主さんの意識が高かったので 予防は出来るものは全て 狂犬病と混合ワクチンの予防注射やフィラリアとノミの駆除をきっちりとされていましたので ほとんど病気らしいものは経験したことがありませんでした。ただ息子さん夫婦が面倒を見始めた頃に 機嫌を取るために ドッグフードを与えすぎて かなり肥満体型になってしまった時期がありました。食餌指導をしましたので 割と短期間で標準体重に戻りましたが 肥満していた時期から 心雑音が聴診されるようになって 軽い心臓弁膜症にかかってしまいました。
この心臓病は完治することは難しいので 平均寿命の十五歳まで生きるのは 難しいかもしれませんとお話してありました。只 興奮したり運動を頑張ったりと 心臓に負担のかかることを出来るだけしないように心掛ければ 平均寿命近くまで生きられるでしょうともお話ししました。それからは フードを心臓の悪い子用に作られた塩分を控えたものに切り替えて 頑張って食餌療法から徹底して始められました。必要に応じて心臓のお薬を処方しましたが 飼い主さんが頑張って指示通りに服用させられましたので 何と十六歳まで頑張ってくれましたが 残念ながら心臓が力尽きて 心不全状態となり 昨晩から入院していましたが 酸素室の中で息を引き取りました。
心臓に爆弾を抱えながら そして最愛の飼い主であったおばあちゃんとの突然のお別れ という精神的に重大なストレスを乗り越えて 平均寿命よりも長くまで頑張って来られたのは 最初の飼い主さんであるおばあちゃんや その後を引き継がれた息子さんご夫婦の頑張りの賜物だと思います。私としても 一番最初のワクチンの段階からお付き合いを始めて 最後の最後まで このワンちゃんの人生と関わらせていただきましたので 思い入れも一入ですが 生き物には間違いなく寿命があることを思い出して 受け入れるしかない事のようです。悲しいお別れが午前中にあった直後にまた 悲しい事件が起こりました。
こちらの患者さんは 年齢が十四歳で 他の病院につい先日までかかっておられましたが 夜中に急患として来院されてから 三日ほど入院して頂き 一旦は見違えるほどに元気に回復してくれました。この子もやはり心臓病 弁膜症の末期の段階で 心臓がいつ停止しても不思議ではない状態でした。酸素室に入院して頂き 心臓の治療薬としては 一番強いものを投与してようやく 自力で歩けるようになりましたので 退院して頂き内服薬で様子を見ながら 治療を継続していこうと考えていました。普通に歩き回れるようになったワンちゃんを見て 飼い主さんはすごく喜ばれましたが 本人は確かに楽になり嬉しいかもしれませんが 強いお薬と酸素室の効果で 一時的に楽になっているだけですから 飼い主さんまで病気が回復したとは 勘違いのないように説明してお返ししました。
帰宅して三日間は 食欲元気ともにあり お薬も飲めていたみたいでしたが 四日目から元気と食欲が無くなりましたので 昨日慌てて来院されました。こちらとしては 心臓自体はいつ停止してもおかしくない状況に変化はありませんから こうなることは想定内の出来事でしたが 一旦自力で歩き回れるまでに回復したのを見た飼い主さんとしては 何とかもう一度歩き回れるぐらいに回復してくれることを期待されるのは 当然の事かもしれません。昨日は取り敢えず 食欲が落ちていましたから 点滴を皮下に入れて 心臓の強い目の薬を 最大量で注射により投与して様子を見ることにしました。酸素室にすぐに入院させる事も考えましたが かなり神経質なワンちゃんでしたので また入院となると その事自体がかなりのストレスになることが予想されたからいったん自宅で様子を見て頂くことにしました。
所が今朝の早くに 心臓の発作が起こりました。これまでにも何度も心臓発作は経験しているみたいでしたが 今朝起こった発作が時間も長くて ダメージも一番大きかったみたいで 早朝から来院してもらい 直ぐに酸素室に入れて 応急処置を施しました。一旦は 落ち着きを取り戻して 自力でお座りして 立ち上がろうとする位に回復の兆しが見えてきました。また三日間ぐらい酸素室で生活してもらえれば 取り敢えずは何とか歩けるぐらいには回復してくれることを期待しながら治療していました。
所がお昼過ぎに 酸素室の中にいるにもかかわらず また大きな心臓発作が起こってしまいました。心臓の鼓動を落ち着かせて 呼吸を安定させようと懸命の処置をしましたが 残念ながら 夕方に息を引き取ってしまいました。飼い主さんの話だと 治療していたにもかかわらず発作の感覚がどんどん短くなっていたので 覚悟はできていたのだそうですが 私としてはまだであったばかり 治療を始めたばかりの段階でしたから 結果的には十分に飼い主さんのお役にたてずに終わってしまい 凄く残念な患者さんとなってしまいました。
午前と午後に 立て続けに 悲しいお別れを阿経験してしまいました。動物の死に対して いちいち落ち込んでいていは務まらない職業ですから 逃げずに正面から受け止めるしかありません。いずれの飼い主さんも その覚悟はできておられたみたいで その最後を説明した時も 落ち着いて受け止めておられましたが 私の方がかえって大きなダメージを受けてしまっていて お恥ずかしい限りです。
この仕事を始めた時から 動物の死と向かい合わせで頑張っていく覚悟はしてきたつもりですが どちらももう少しは頑張って生きてくれることを期待していた子たちでしたから 残念で仕方がありません。飼い主さんが納得しておられるのですから 私がいらん事感情移入をするのは 余計なおせっかいなのですが やはり泣きたくなる時はあるものです。この仕事は 治療が上手くいって 元気になってお返しして 感謝されるときの喜びがあるから しんどいけれども頑張れる仕事なのです。でもどんな仕事にも上手くいかないケースもあるのは致し方の無い事で そこから逃げずにきちんと受け止めて 乗り越えていくしかないのは 頭では分かっているつもりですが 本日は気持ちのコントロールがうまく出来なくて 落ち込んでしまいました。
一晩ぐっすりと寝て 明日には気持ちを切り替えて 何時ものように笑顔で仕事が始められるように努力します。こんな時にお酒が飲めれば アルコールの力を借りて 気持ちを切り替えやすいのかもしれませんが 飲めないので 冷えた麦茶と好きな豆腐料理でも食べて 心を切り替えることにしましょう。

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